
こんにちは、Ginoです。
今日は僕が運営しているコミュニティ
STORiA(ストーリア)のイベントで
「京都老舗巡りツアー」
を開催しました。
創業200〜800年クラスの老舗を巡って、あわよくば店主さんから「長年ビジネスが続いている秘訣」を聞きまくろうという企画です。
当日は全国から7名の生徒さんがあつまり、
ゲストでWEBマーケや中国輸入をやってる
経営者さんたちも来てくださいました。
移動中も先輩経営者さんのお話していただき
たった1日ですがコミュニティメンバーには
濃密な時間を過ごしていただきました。
今回行ったお店の中でも最も古いお店は、
宇治にある「通円(つうえん)」さんです。
日本で一番最初に「お茶の商い」を始めたお店なのですが、なんと創業850年以上…!
「800年ってなんだよ(震え声)」
「始業が平安時代ってなんだよ(震え声)」
ってビビリつつも行く前からわくわくがとまらない…!
そして僕は店主さんがいたら絶対に聞きたいことがあった。
それは
「なぜ800年もビジネスが続くのか?」
です。
ビジネスマンとして、
「一生廃れないビジネス」
って究極の目標だと思うんですよね。
でも通円さんって一生どころか「24代」も続いているのです。
一生どころか二十四生続いてるわけです。
やばくない?異次元すぎない?
だから僕はどうしても、その理由が知りたかったのです。
ちなみに通円さんで残っている記錄には、
- 足利義政さん来店
- 豊臣秀吉さん来店
- 千利休から水くみ用の「釣瓶」をもらう
- 徳川家康さん来店
- 7代目は一休さんと仲が良く贈り者でもらった木彫りの人形も店内にある
- 狂言の一、舞狂言に名前が登場する
- 伊藤博文さん来店
- 吉川英治小説『宮本武蔵』に登場する
- 美空ひばりが映画撮影のため訪問
とか意味がわからん実績と
「え、実在したんすか?笑」
ってレベルの偉人がご来店してることが残っている。
芸能人のサインを飾ってドヤってる店舗とわけが違うというのはわかっていただけただろうか。
そして今回、運良く店主さんにお話を聞かせていただいたのですが、その中でぶっちゃけた質問をしてみました。
創業800年って平安時代からあるわけです。
室町とか江戸とかじゃなくて、平安ですよ。紫式部の時代です。
想像もつかないほどはるか昔からあるのです。
そんな時代から、なぜ800年も無くならずに続けて来れたのか?
↓聞いてみました。
答えは「○○がよかった。」「○め過ぎなかった。」
これが通円さんの店構え。
自動扉もあり、想像していたより現代風だった。
でも中に入ると印象が変わった。
店の奥は昔のままなのか、しっかりしているけど年季の入った木の柱で支えられた、ものすごく歴史を感じさせる木造作りだった。
「ここで800年、お茶だけを売り続けてきたのか…」
ロマンしかなかった。
店内は7人で入ると狭いくらいで、お茶が所狭しと並んでいる感じ。
1000円のお茶っ葉から5000円代の抹茶まであった。
↓玄米茶や試飲で最強にうまかった煎茶買った。
創業800年だから5万円くらいのお茶ばかりなのかと思ったけど普通に庶民でも買える値段で意外だった。
最初はアルバイトらしき女性の方しかいなかったのですが、しばらくすると店主さんがレジを手伝い始めた。
僕は事前にリサーチしていたのでひと目でその方が24代目の店主さんだとわかった。
タイミングを狙って店主さんにレジをやってもらい、まずはお茶の入れ方の関する質問をした。
するとたくさんアドバイスをくださいました。
「40〜50度のお湯で作るのがおいしいですよ」
「熱湯入れると雑味が出るのでこのお茶っ葉がもったいないです。」
など、美味しいお茶の入れ方を丁寧に教えてくれた。
熱湯をじょぼぉ〜!っと茶っぱに注ぐ方法しか知らなかったのでぬるめが良いと言われて意外だった。
そして僕はいよいよここぞとばかり聞いてみた。
「800年続いた理由ってなんだと思いますか?」
・・・・・・
今これを読んでいるあなたは、このあと店主さんがなんと答えたと思いますか?
お茶を極めたから?
値段が安いから?
マーケティング頑張ったから?
・・・・・
店主さんはすぐにこう答えました。
「まず場所が良かったですね。」
「そして、広めすぎなかったことだと思います。」
↓僕はこのシンプルな答えの中に全てが詰まっていると思った。
場所の重要性
「場所」ってビジネスするうえで超大事です。
リアルの店舗だとなら、
人通りの多い場所に店を構えると集客しやすいし
人がいない山奥に飲食店を経営しても誰も来ない。
ビジネスを成功させる上で「場所」はシンプルだけど超大事だ。
ネットビジネスで言えば、どのポジションを取るか?
というのは商売の勝ち負けを決める。
ポジション(位置)もようは「場所」ですよね。
どんなポジションで発信しているのかで、同じ事を教えてたとしてもうまくいってしまったりする。
通円さんは宇治川のたもとにあって、ここは昔から通行人がたくさん通り、人々が疲れを癒やしていた。
そして椅子に座ると綺麗な宇治川の流れと桜が見える。
昔から桜があったのかはわからないけど、川と山に囲まれているこの場所で一服するお茶は歩き疲れた人々の最高の癒やしになっただろうなと容易に想像できた。
武士も役人も庶民も通り、ロケーションもよい。
幕府からも守られた重要なお店であった。
「場所」 これがまずひとつ。
でも場所がよかったからというだけで、800年続くとは思えない。
そこで重要なのがもうひとつ
「広めすぎなかったこと」
です。
広めすぎない戦略で逆に広まっていった。
もちろん場所が良い、お客さんが来やすい。
これだけで商売は有利です。
でもこれで成功出来たら駅前の飲食店やチェーンの居酒屋は全部成功出来ることになる。
でも現実はそうじゃない。
「場所の利」だけで成功出来るほどあまくない。
じゃあなぜ800年続いたのか?といえば、
通円さんはがんがんチラシを入れたりネット広告うったり、テレビに積極的に出て広めようとするのではなく、むしろ地元という狭い範囲のお客さんを強烈に「ファン化」してきたのです。
僕らがお店に行った時も地元の人らしき顔なじみのお客さんが親子でお茶を買いに来ていた。
僕らよりあとに来た彼らは「いつものください」みたいなノリでさっとお茶を買って帰っていった。
「広めすぎない」というのは地元のお客さんを大事にしているということ。
固定の太いファンがたくさんいて、お茶が切れる度に買いに来てくれる。
そして親世代、子世代、孫世代とそれが続いていく。
お客さんには同じく老舗の
地元の料亭もあるはずです。
旅館とかでも出されていると思います。
そういった長く太いファンが一定数、常にいれば新規のお客さんがいなくてもそれだけでビジネスは成り立つ。
業種にもよりますがビジネスが安定するには固定のファンが5人いれば十分だったりしますよね。
実際にここまでブランドがあるお店なら大きな会社から
「年間○○億でうちだけに卸して」
みたいな交渉とか持ちかけられたこともあると思います。
たった1人のファンでも回るレベルの起業です。
実際に聞いてみたところ店舗は宇治の「1軒」しかないそうです。
広めすぎないことで「ブランド力」を高めていて、だからこそ逆に
「京都の宇治にすごい店があるんだって!」
と口コミやネットで広まる。
その結果日本中、世界からもお客さん来る店になる。
面白いことに「広めない」ことを頑張ると、逆に広がるのです。
これは生産数をわざと抑えるという事をしている高級ブランドがとっている戦略に似てる。
(現代のブランドが老舗の戦略を真似しているが正しい。)
だから歴史に名を残す偉人もやってくるし、僕のように県外から来たり、あるいは世界からお客さんがやって来る。
そして信念にもすごく共感してしまった。
公式サイトにも
「道往く人々に橋の長久祈願と旅人の無病息災を願って、茶を差し上げてまいりました。」
と書いてありますが、
お客さんの無病息災を願う気持ちでお茶を出す。
ってすごくいいなって思った。
この店は昔から道行く人に
「ゆっくりしてってね」
「疲れるでしょ、少し休んでってね」
って気持ちで溢れていたのでしょう。
お茶屋ならではの付加価値として、休んでいくお客さんへの宇治の名所紹介とかも昔からやっているそうだ。
この日も店主さんが
「禅の発祥の宇治神社がありますよ」
「興聖寺は行きましたか?」
「伏見にめっちゃおもしろい土人形を出す店があるんですよ!」
みたいな宇治の名所や京都の伝統工芸についてたくさん話してくださいました。
こういったホスピタリティあふれる精神で代々お仕事を続けてきて、その過程でたくさんのファンがついたのでしょう。
この店がすごく好きになったし、
自分のビジネスの完成形はこれだって思った。
ちなみにお茶も出していただいたのですが、超うまい。
僕が普段飲んでいるお茶はお茶じゃなかったんだと知りました。
飲んだ瞬間お茶の甘みがぶわあああって広がって、脳がお茶の旨味の情報量に追いつかなくなります。笑
お茶の「旨味」をごくごく飲んでいる気分になる。
あまりの旨さに
「僕らがいつも飲んでいたのはお茶味の水だったんですね。」
って生徒さんといっしょに目を丸くしてしまった。
お茶飲んだだけで価値観が変わるとは思わなかったですね。笑
飲んだあとも口の中にずっとさわやかなお茶の味が残っていた。
ナポリで本物のエスプレッソを飲んだ時と同じ感覚になった。
1日中ずっと香りが残る勢いだ。
ただ単にうまいお茶を出す店はいっぱいある。
でもここはここでしか味わえないお茶の味と宇治川と、お客さんを癒して旅を楽しませようという信念でお店をやってる店主さんがいる。
800年続いた理由がちょこっとだけ見えた気がする。
ちなみに値段も1000円くらいから買える。
ここまでブランドがあればどれだけでも値段は高く出来るはず。
でも誰でも買える、一般向けの値段。
昔からずっと一般の人や地元の人を大切にしているんだなって思った。
僕はお店に行った時もタクシーにのった時さえも必ず、相手の仕事について何か質問をするのですが、こういうポロッと出てくる何気ない一言に「超重要なエッセンス」が凝縮されていることがあるからです。
伝統ある起業であればあるほどそのエッセンスは濃くて、食らった瞬間一気に脳みそに電流が走って感覚や価値観が変わるという経験を何度もしてきました。
こういうのは自分で取りに行かないと待ってて相手からもらえるものでは到底なし、ただ客として買い物を楽しんでいるだけじゃ絶対に得られない情報ですから。
↓他にも江戸後期から続いている油屋さん
ここでもいろんなお話を聞きましたが、長くなるので割愛。
↓創業70年以上のコーヒー店
行く先々で色々なお話を聞かせていただきましたが、書ききれないのでまた機会があれば!
↓そして最後は僕が京都で激推ししている焼肉屋さんでたくさんお話して盛り上がりました。
とても学びが濃い1日になりました。
僕も「大量集客すれば一定数商品売れる」という考え方を持っていたのだけれど、それよりも濃いファンを数人でもいいから少しずつ増やしていくビジネスをしようと、今回のツアーでより感じました。
Twitterのフォロワーが10000人いたってうっすい繋がりだったら意味がなくて、それなら今回みたいにわざわざ遠方からツアーに参加してくれる方々や、コミュニティに参加してくださるメンバーとの「濃い関係」を大事にしていきたい。
それが結局は自分もお客さんも末永くお互いに幸せになれる唯一の方法だと思いますから。
参加してくださったみなさま、ありがとうございました!
PS.
参加された方からこんな感想をいただきました。
コミュニティメンバー同士でもより仲良くなれたみたいで嬉しかったですね。
大人になってから信頼出来る仲間ができたり、いっしょにいて前向きになれる友達が出来るって超貴重だと思います。
歳を重ねるごとに段々と会社の人や家族としかしゃべらなくなりますし、今まで遊んでいた友達とも色んな理由で疎遠になっていくことも多いので。
今後も横のつながりを作る機会はどんどん作っていこうと思いますので、今回参加できなかった方もぜひ次回はチャンス掴んでください。
PPS.
宇治でなにやら怪しい?パン屋さんを見つけました。笑
その名も
「大人はズルいと思いませんか?」
笑
看板を見るとその下には「高級食パン」という文字が。
この名前で食パン屋!?しかも高級?!笑
みんなでツッコミを入れつつ、看板の奇妙さに惹かれてお店を覗いてみることに。
超うまそうな食パンが売っていました。
ただのパン屋だったら怪しいので行かなかったかもしれませんが、食パン限定で、しかも高級ってギャップに惹かれてしまいましたね。
ほぼ食パンしか売ってないお店で、食べ方も焼くよりはそのままの方がおいしいとのこと。
生徒さんが購入されていましたが、僕も減量中じゃなければ買っていたと思う。
あと「罪なラスク」という名前の商品も売ってました。笑
しかも超うまい。笑
いっしょに行った経営者さんは即座にメモをとって、「罪な〜〜〜」みたいなノウハウ配ると反応上がりそうですね。
みたいな応用方法とかも考えていて、ビジネス視点でみるとこういう戦略って学びしかないですね。
ちなみに紙袋もこんな感じで癖がつよいwww
電車で持ってたら絶対目に入るし、
何だこれは?って検索して、
勝手に店の名前が広がっていきますよねww
癖の強い戦略ですがなんとしてでも集客して広めていこうとするマーケティングが非常に勉強になりました。
こんな事も道中で話したりして、生徒さんも道端の看板ですら見方が変わって、見える世界が一気に変わった1日になったと思います。
単純に楽しいし、勉強になるし、最高です。
また開催しよ〜!